第3章 Ever green!②
雲ひとつないパシオの空。
どこまでも晴れ渡り、吸い込まれていきそうだ。
「どこから行こうか?」
ピジョットに乗せてもらいながら、陽の光を反射するポリゴンフォンの画面を、目を細めて確認する。
画面上に広がる地図には、今大会の予選チェックポイントが赤い点で表示されている。
場所は砂浜、洞窟、火山、氷河、計4箇所だ。
「セントラルシティから近い砂浜は人が集中しそうだから、一番遠くの洞窟行ってみようか?」
「ああ。いい選択だ」
そう言うと、グリーンは身を屈めて体勢を整えた。
「ナナ、飛ばすぞ」
「え?う、うんっ」
それを合図に、グリーンの背中に身を寄せる。
「ピジョット、最速で洞窟まで頼むぜ!」
ピジョットは大きく羽ばたくと、瞬時にギアを切り替えた。
鮮やかな立髪をたなびかせながら、風を切り旋回して洞窟へと向かう。
遠心力で身体が剥がされそうになり、慌てて体勢を直す。
「飛ばされるー!」
「姿勢を低くしろ!身体持ってかれんなよ!」
さっきのふわふわ空を散歩していた状況から一変し、目まぐるしい体感速度に目眩を覚える。
本気を出したグリーンのピジョットは、まるで安全バーのないジェットコースターのよう。
悲鳴を上げてグリーンにしがみついた。