第3章 Ever green!②
「あの時みたいにはいかねーからな」
「…負けない!」
無口なレッドがついに口を開いた。
そのタイミングで、ふたりの間にリーフちゃんが割って入る。
「こら!大会前に喧嘩しないで!」
リーフちゃんはしかめっ面でグリーンに向き直った。両手を腰に当ててむくれている。
「グリーンもそうやって挑発しないの!口喧嘩じゃなく、大会で正々堂々闘いなさい!」
グリーンはやれやれといったジェスチャーをしてきびすを返した。
「へっ、せっかくレッドが乗ってきたとこだったのによ」
その時だった。
会場が歓声に包まれる。
主催のライヤーさんの登場だ。
「諸君、よくぞ集まった!」
ライヤーさんの一声で、会場内が静まり返る。
「今大会のテーマは"きずな"だ !ただ強さを競うのではなく、お前達のきずなの強さを確かめさせてもらうイベントを用意した!」
ライヤーさんがパチンと指を鳴らすと、会場の巨大モニターに選手名簿が映し出された。
「ルールはシンプル!この参加者の中からパシオ各地に散りばめた試練をクリアした先着8組が決勝トーナメントに進むことができる!」
各地の試練ってなんだろう?と疑問が浮かんだタイミングで説明が入る。
「各試練には審査員がいる。審査員に与えられた全ての試練を終えた者が予選クリアとなる。内容は、ただ強ければクリアできるものではない!タッグを組んだバディーズ同士、協力・連携して進むのだ!」
つまり、予選は絆を試されるミニゲームみたいなのをやるってことかな。
二人三脚とかだったらどうしよう。
グリーンに叱咤されながら、ずるずる引き摺られる自分が容易に想像つく。
「試練の様子は会場モニターで生中継する!観客も出場者の勇姿を見届けて大いに楽しむがいい!」
わぁっと歓声と共に拍手が沸き起こった。
こうして、"きずな"の大会が開幕した。