• テキストサイズ

【ポケモン】パシオで恋して

第9章 ※チームメイト



するとなぜか、Nさんの表情に翳りが差した。

「キミが不審がるのも無理はない。当時のボクは歪んだ思想に傾倒し、たくさんの人を巻き込み、迷惑をかけたからね」

誤解させてしまい、慌ててぶんぶんと首を振って全否定する。

「いえ!いえいえ!そういうことじゃなく!むしろそんなすごい人が同じチームだってことに驚いちゃって」

恥ずかしいけど、Nさんが子供時代を話してくれたんだから、私も正直に話そう。

「……私は、カントーのポケモンリーグ目指したけど、最後のジムで挫折して、チャンピオンに挑むどころか四天王とすら戦えていないし…。実力差がありすぎて申し訳なくなっちゃって」

「トキワジムか。グリーンのヤツ、パシオでは甘やかしてんのに、ジムリーダーとしてはちゃんと仕事してるんだな」

シルバーくんの“甘やかして”は一旦置いておいて…。

「惨敗だったよ、毎回ね。トキワジムってちょっと特殊でさ、グリーンの前のジムリーダーはほとんど不在だったんだよね。そもそも、7つ集められるトレーナーが全然いなかったのも理由かもだけど」

そう言うと、シルバーくんが一瞬険しい顔をした。

レッドとグリーンがバッジを貰った後、ジムリーダーはトキワジムから去り、その後継としてグリーンが選ばれたと聞いている。

「トキワシティは近所だからよく遊びに行ってたけど、結局グリーンの前のジムリーダーは一度も見なかったなぁ。前任の人もすごく強かったみたいなんだけど、正体はロケット団の——」

「レッドに負けて逃げ出したからだろ」

「——ボスだったって……え?」

自分の声の隙間に割り込んでくるように聞こえてきたシルバーくんの言葉に、虚を突かれて、きょとんと顔を上げた。

「弱いヤツらを集めてでかい組織を作って、その結果、たったひとりの子供に壊滅させられて逃げたんだ。ロケット団もジムリーダーも」

いつものように淡々と話すシルバーくん。けど、この時だけは、なぜか感情を押し殺しているように見えた。 

/ 452ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp