第3章 Ever green!②
グリーンの背中がレッドの表情を隠してしまった。
「なんだよレッド。なんか言いたそうだな?」
グリーンはレッドに顔を近づけ、目深く被った帽子の奥を覗き込む。
「ハハッ!先手を打たれて悔しいんだろ?」
「……っ!」
その一言で、レッドの纏う空気感が変わった。
好戦的な目つきのグリーンと、燃えるような瞳のレッド。
後ろにいるリザードンとカメックスも、ふたりの覇気が伝わっているのか、今にもバトルを始めそうなほど殺気立っている。
「あーあ、いつまでも子供なんだから」
呆れた様子でリーフちゃん。
「勝負となるとふたりはいつも真剣なんだね」
きっと、本当の意味で親友であり、ライバルなんだ。
「うーんそれもあるけど…」
「それもあるけど?」
「ううんっ、なんでもないっ」
リーフちゃんは困ったように笑った。
一方、レッドとグリーンはというと、なおも睨めっこを続けている。
「どうした?欲しけりゃ力尽くで奪ってみろよ?」
「……」
グリーンは腕を組み、挑発的に口角を上げて微笑む。
お祭りイベント的な大会なのに、ふたりが発するオーラが私だけじゃなく近場のトレーナーたちみんなを巻き込んで会場がピリピリとした雰囲気に包まれる。
グリーンが負けず嫌いなのは誰が見ても一目瞭然だけど、レッドもやはりポケモン勝負となると譲れないものがあるようだ。
一瞬、レッドがグリーンから視線を外し私を見る。
その瞬間グリーンがさらに一歩レッドへと詰め寄った。