第8章 でこぼこトリオ結成
Nさんから後光が差している。なんて優しくて愛——否、ラブに満ちた人なんだろう。しかも、トゲピーを捕獲する時に一緒に戦ったからわかる。彼はとんでもなく強い。きっと、そんじょそこらのトレーナーやジムリーダーでは敵わないほどに。
「あのっ、嬉しいけどほんとにいいんですか?Nさんほど強いなら一緒に出たい人は他にもいるのでは?」
「ボクは最近パシオに着いたばかりで、トモダチは既にエントリー済みだったんだ。観戦だけ楽しもうと思っていたから嬉しいよ。それに——」
と言って、Nさんは私とシルバーくんに微笑みかける。
「ナナとシルバーは、バディと理想的な関係を築いている。そんなキミたちのポケモンの声を、もっと近くでたくさん聞きたいからね」
「フン…」
「うぅ…」
「お前ら、ふたりして照れてどーすんだよ」
照れ隠しで一方は顔を背け、一方は俯く。グリーンは腕を組み、そんな私たちを見てやれやれといった風に首を振った。
「で、3人目のメンバーはNに頼むんでいいんだな?」
当然だと思い、ブンブンと首を縦に振った。
「Nさんがよければ!ぜひ!ねっ、シルバーくん!」
「ああ」
「アリガトウ!またひとつパシオで楽しみができたよ」
「感謝するのは私の方です!ずっとメンバーが決まらなくて困ってたんです!」
きっかけを作ってくれたグリーンに笑顔を向けると、グリーンも微笑み返してきた。
「よかったな」
「うん!」
「……っ」
レッドも心配していたみたいで、安堵のため息と共に笑みを浮かべている。
「レッドもありがと!がんばるから、私」
「……うん!」
ついにチームメンバーが揃った。これでやっと予選に参加できる。
ようやく私の、いや、私たちのWPMが始まるんだ。