第8章 でこぼこトリオ結成
これからは、日課になっているグリーンとの特訓に加え、WPMとヒナギク博士のお手伝いか。毎日忙しくなりそうだ。
頭の中で1日のスケジュールをイメージしていると、シルバーくんが何か言いたそうに皮肉っぽい笑みを向けてきた。
「なに?ニヤニヤして」
「お前、随分と余裕そうだな。ロケット団だなんだ悠長なこと言ってていいのか?」
「余裕なんてないよ。WPMもあるし」
と自分で言って、大切なことを思い出す。
「そうだ!大会のメンバー探さないと!」
狼狽えるように頬に手を当てて声を上げる。シルバーくんのつららのように冷ややかな視線が、チクチクとハートに突き刺さる。
「べつにオレは見つからなくてもいい。WPMがなければお前ともオサラバできるしな」
「なんでそんな寂しいこと言うの!」
動揺する私を見て、シルバーくんは鼻で笑った。
「所詮忘れる程度だったってことだろ、お前にとってWPMは」
「覚えてたけど、初めてダイマックスポケモン見て頭が埋まっちゃってたの!」
忘れていたわけじゃなく、ダイマックスやロケット団の件で、本当にいっぱいいっぱいになっていただけなのに…!
ムッとして、精いっぱいシルバーくんを睨んでみる。けれど、相手の方が何枚もうわてな“にらみつける”で見事に押し負ける。
先に目を逸らしてしまい、情けない気持ちで床を見つめた。
すると、ぽんと頭に触れられる感触がする。見上げれば、グリーンの大きな手が頭頂部にそっと置かれている。
「N、協力ついでにナナ達とWPM出ないか?」
下から覗き込むようにグリーンを見つめる。
「グリーン!そんな急に誘ったってNさんだって忙しいだろうし——」
「いいよ」
「ほらやっぱ……え?」
目をぱちくりしてNさんとグリーンの顔を交互に見る。Nさんは口元に手を添えてクスリと笑った。
「ちょうどボクも興味があったんだ。パシオにはポケモンたちと心を通わせたバディーズがたくさんいる。WPMはまさにポケモンと人のラブを直に感じられる大会、そうだよね?ナナ」