第8章 でこぼこトリオ結成
Nさんは微かに目を見開き、そして、嬉しそうに微笑んだ。
「……うん。一緒にがんばろう。ナナ」
「はい!」
「そうね…それならNには、ナナと一緒にフィールドワークをしながら、ポケモンの保護をお願いしたいわ。ポケモンの誘拐・強奪事件も、ロケット団が来てから増えているの」
「ええ、わかりました」
ヒナギク博士の言葉に、自分が襲われた時のことを思い出す。私は運良くシルバーくんがいたから助かったけど、悲しい思いをしているトレーナーがいるのなら、これ以上被害が出る前に阻止しないといけない。
「オレはあんたらとはつるまない。やりたいようにやらせてもらう」
「シルバーくん?」
シルバーくんは私の視線を避けるように、プイっとそっぽを向いてしまった。
「シルバー、単独行動は危険すぎるわ」
「ひとりには慣れている」
確かに、今日は流れで手伝ってくれたけど、シルバーくんから一緒に調査をするとは一言も言われていなかった。でも、いくら強いシルバーくんだって、強大な悪の組織にたったひとりで立ち向かうのは危険すぎる。
不安が顔に出てしまっていたのか、グリーンが私に声をかけてきた。
「安心しろ。シルバーはちゃんと考えて行動するヤツだ。オレとレッドでも引き続きロケット団の動向を追うから、何かあったらすぐに知らせる」
「うん…わかった」
本当は、レッドとグリーンのことだって心配だ。だけど、みんなでパシオを守ろうとしているんだから、それを止めることはできない。
もし気持ちを伝えても、「自分のことを心配しろ」とグリーンに笑ってかわされてしまうだろう。
「みんな、無理しないでね」
「ああ。任せとけ」
心配はひた隠しにして、頼もしい台詞を今は信じよう。