第8章 でこぼこトリオ結成
ヒナギクポケモン研究所に戻ると、ヒナギク博士とレッドとグリーン、それにワタルさんがいた。
グリーンは私の姿を確認すると、苛立ちを滲ませていた顔を少し緩ませた。レッドとも目が合うと、どこかほっとしたように微かに微笑む。
「ナナ!戻ってこないから探しに行こうと思ってたところだ」
「いろいろあって遅くなっちゃった。ただいま!」
「おかえりなさい。依頼していた調査はどうだったかしら?」
「はい。実は大変なことがあって——」
調査中に起こった出来事を全て説明し、保護したトゲピーのモンスターボールをヒナギク博士に手渡した。博士はボールを受け取ると、すぐに回復装置へボールを乗せた。ポケモンセンターにあるのと同じ仕様だ。
「まさか初めての依頼でそんな危険な間に合うなんて…。あなたたちが無事で本当によかったわ」
深いため息をつくヒナギク博士の横で、ワタルさんは腕を組み、神妙な面持ちになる。
「以前、ヒナギク博士がロケット団に攫われた事件が起きてね、その時彼らはバディストーンに関する研究データを奪おうとしていたんだ。話を聞くに、キミたちが言うように、どうやら人為的にダイマックスの実験をしていたんだろう」
ワタルさんは、私にこれまでパシオで起きたロケット団の事件を時系列順に教えてくれた。ブレイク団を引き入れ、パシオで悪事を企んでいること、バディストーンの研究データを盗み、悪用しようとしているのが分かったこと、ライヤーさんが国際警察に要請を出していることなど…。私がパシオに来る前に一度、島中を巻き込んだ大きな事件があって、その時はレッドやグリーンたちがサカキというロケット団のボスと戦って騒動を収めたらしい。
「いずれにしても、ライヤーは厳戒態勢で第2回WPMを開催することを発表した。オレとしてもヤツらの好きにはさせないつもりさ」
「また何か動きがあったら、その時はオレたちがサカキを捕まえてやるよ」
「ハハハッ、キミとレッドがいると心強いよ」
ワタルさんが腕組みをしながら笑う。
それにしてもすごい。近くで初めて見た。これがカントーとジョウトの頂点に立つ、かの有名なドラゴン使いワタル…!
レッドとグリーンはこのワタルさんに勝ってチャンピオンになっちゃうんだから、やっぱりすごい人たちが幼馴染なんだなと実感する。