第8章 でこぼこトリオ結成
「私たちは、ヒナギク博士の依頼でポケモンの調査をしていたんです。パシオには野生のポケモンがいないはずなのに、目撃情報が増えていて、ポケモンを見つけたら保護をするようにって」
Nさんは真剣な面持ちで耳を傾けている。
「で、そこから、苦しそうなトゲピーが飛び出してきて、急に私たちの目の前でダイマックスしたんです」
と言って、すぐ側の草むらを指さした。
Nさんは顎に手を添え考え込む。
「それは…妙だね。パシオでダイマックスするにはバディストーンの力が必要だと聞いている。どうしてトゲピーはバディストーンを使わずに突然ダイマックスしたんだろう?」
「私のバディストーンに反応した様子もなかったし、自分の意志でダイマックスしたようにも見えませんでした」
「ムゲンダイナが来た時は、パシオ各地でダイマックスポケモンが発生する騒ぎがあったな」
シルバーくんの言葉に、私とNさんは目を見開いた。Nさんも驚いているということは、少なくともNさんがパシオに来る前に起きた現象のようだ。
「それじゃあまた、そのポケモンが原因?」
「いや、ムゲンダイナはダンデが捕まえて騒ぎが収まったからそれはない。それにさっき、ロケット団がこそこそ逃げて行くのが見えた」
「ということは、ロケット団がトゲピーをダイマックスさせた可能性があるってこと?」
「おそらくな」
シルバーくんは、腕組みをしながら眉をしかめる。
「…もしかしたら、実験でもしてたのかもしれない」
「実験って、ダイマックスの…?」
「さあな」
苦しみもがいていたトゲピーを思い出して胸がざわつく。
ポケモンを道具のように扱い苦しめる。それは、どんな目的があるにせよ、決して許されないことだ。