第8章 でこぼこトリオ結成
「なっ、なんで急にダイマックス!?」
虚を突かれふたりで後退る。
「あんな巨体で暴れられたら森が破壊される!弱らせて捕獲するぞ!」
モンスターボールを構えてトゲピーを見据える。なんだか様子がおかしい。
「ねぇ、あのトゲピー苦しそう!倒すより眠らせて捕まえられないかな?」
「そんな暇があればな!」
「わぁっ!!」
苦しくて興奮状態なのか、トゲピーが地団駄を踏んでころがりまわる。地面がぐらつき、立っていられない。
ダイマックスできる時間は限られているはず。ならば、元の姿に戻るまで休ませてあげられないだろうかと考えたけど、こう暴れられては手も足も出せない。とてもじゃないけど眠らせるのは無理だ。
「掴まれ!」
声の方に手を伸ばすと、身体が浮き、視界がぐわんと揺れて夕闇の空を写し出した。瞬きをした次の瞬間には、オーロラを閉じ込めたような虹彩色の羽が目の前で輝いていた。風になびく長い赤髪が鼻先をくすぐる。
「ありが…とう……」
助け出されなければ、あやうくペシャンコにされて、トゲピーの殻の模様になるところだった。
「……って、え!?私!ホウオウに乗ってる!すごい!きれいっ!!」
「こんな時にはしゃぐなよ!」
ホウオウは私とシルバーくんを乗せながら、ダイマックスしたトゲピーの頭上を旋回する。