第8章 でこぼこトリオ結成
「修行よりデートってわけか。行ってこいよ」
含みのある言い方にムッとする。シルバーくんと約束をしていたから、ちゃんと断るつもりだったのに。
「ごめんグリーン、今日はこの後、シルバーくんと大会に向けて特訓しようって話してて…」
シルバーくんは口をつぐみ、プイッと顔を背ける。そんな彼を見て、グリーンは軽快に笑ってからシルバーくんの肩を抱いた。
「よーし、シルバーも来いよ!」
「はぁ!?あんたらのイチャイチャにオレを巻き込むな!」
「この後は夕方まで予定ないから、ついでにお前らの修行も付き合ってやるぜ?」
グリーンの言葉に、シルバーくんの険しい顔がほんの一瞬だけ崩れる。
シルバーくんの、誰よりも強くなりたいという強い気持ちを、きっとグリーンは見抜いている。“修行”って言葉を出せば、シルバーくんの心が動くってちゃんと分かってるんだ。
「このオレ様が、WPMに向けてきっちり特訓してやるよ」
トップクラスの実力を持つグリーンからのお誘い。断る人はいないんじゃないだろうか。
「よかったねシルバー!グリーンさんに鍛えてもらいなよ」
ヒビキくんが笑顔でシルバーくんを促す。
「そうだよ!せっかくだから一緒にグリーンをやっつけよ!」
ヒビキくんに乗っかって、私もシルバーくんをその気にさせようと追撃する。
「おっ、珍しく強気じゃねーか」
右目だけを半眼にして、グリーンが挑発的な笑みを浮かべる。
シルバーくんは少し考え込んでから、フッと口元を緩ませた。
「ちょうどこいつじゃ弱くて物足りなかったしな。行くか」
「また弱いって言った!引き分けだったのに」
「お前は有利属性、オレは不利で引き分けだからお前とは違う」
「それは確かにそうだけど…!そっちだって伝説のポケモンだったでしょ」
「それなら次はニューラで相手してやるよ」
「だったら私だって!他の手持ちの子も鍛えてるし!」