第7章 ※なつき度MAX
どうやって言いくるめようか頭の中で悩んでみて、肝心のナナの気持ちはどうなんだ?とハッと気づく。
ナナを守りたいというのはあくまでもオレの独りよがりな願望であって、こいつはそれを望んでいるのか?手伝いたい、力になりたいと言っているのに。
ナナを信じていないのはオレの方?オレが安心したいだけで、ナナの気持ちを考えていなかったんじゃないか?
オレが好きなのは言いなりになる従順な幼馴染か?いや、違う。自分の弱さに向き合いながらも、前に進もうとする目の前のこいつだろ?
怖がりなくせにサンダースのためにブレイク団に立ち向かったんだ。まずはその勇気を認めてやらないと。
「甘えてばかりは嫌だ」「彼女ならちゃんとしないと」と言ってきたのが答えじゃねーか…!
「グリーン…?」
腕の中のナナは、オレの目をじっと見つめ、消え入りそうな声で名前を呼ぶ。その誘うような目つきに思わず息を呑む。
わざとやってんのか?オレの部屋だぞ?こっちはいくらでも無理やりそういう方向に持っていけんだよ。
という欲望は理性で無理やり蓋をして、濡れた頬をそっと手で包んだ。
「そうだな。やる前から否定するのは良くなかった。けどよ、怖い思いさせたばかりだし、無茶はさせたくない。そこでだ——」
と切り出し、オレの中の最適解を提示する。
「ヒナギク博士が助手を欲しがっていた。お前ならついでに何かあった時に護衛もできる。どうだ?悪くない話だろ」
さすがにいきなり、「ロケット団アジトに乗り込んでサカキを倒そうぜ!」なんてハードル高いことは言えなかった。
「うん!やりたい!」
即答し、不安そうだった顔が一瞬で笑顔になる。
「わかった。博士にはオレから話しておく」
「…ありがどうっ」
返事しながら胸に顔を埋めて鼻水を啜っている。ちなみにこのシャツはオレのお気に入りなんだよな。