第7章 ※なつき度MAX
「それで最近忙しそうだったんだ」
「オレに会える時間が減って寂しかっただろ?」
反応が面白いから、真面目な話をしてんのについからかっちまう。ほら、また顔が赤くなっている。
「会う時間が減ったのは、忙しいから仕方ないって思ってた。でも、グリーンがそんな危険な調査してたなんて…」
心配そうに眉根を寄せている。
「バーカ。オレ様は最強なんだ。ナナに心配される筋合いはねぇよ」
襲われた自分よりオレを心配するお人好しさに、思わず苦笑する。
「でもパシオがそんな状況なら、私ももっと強くならないと」
なんで「怖いから守って!」とはならねーんだろうな。オレはナナを守りたいと思ってんのに。
「強くなってるだろ。なにそんなに焦ってんだよ」
「だって、私のせいで、サンダースを失いそうになった…!」
大粒の涙が頬を伝う。泣き虫なりに意地張っていたようだが、サンダースへの想いの強さから堪えきれなくなったようだ。
そんな泣き顔を見せられればまた甘やかしたくなる。そっとナナの頭をポンポンと撫でる。これをすると、いつも嬉しそうにするから、ついつい何度もやってやりたくなる。
気持ちを落ち着かせるように、しばらく頭を撫でていると、腕の中のナナは甘えるように身体を密着させてきた。
さっきの言葉で分かった。
こいつもオレと同じで、大切なものを自分が守れなかったことが悔しくて、だから焦っているんだ。
強さへの渇望は、お互い様だな。
「ナナが悔しかった気持ちはよく分かる」
「グリーンには分からないよ。最強の人にはさ」
「分かるって言ってんだろ」
「分からないもん。チャンピオンには」