第6章 予選、野望、そして仲間
「私、もっと強くなりたい。心配かけたくないし、ちゃんと大事なものを守れるようになりたい」
トレーナーが多い練習場所を選べば、きっとブレイク団も簡単には手を出してこないだろう。もっと修行の時間を作らないと。胸中でそう自分に言い聞かせる。
「明日からトレーニングの時間をもう少し増やすか?」
「いいよ。グリーン毎日忙しそうだもん。これ以上迷惑かけられないよ」
グリーンが忙しいのは私がいちばんよく分かっている。そして、どんなに寝不足でも、疲れていても、毎朝特訓してくれていることも。
「迷惑?そんなわけないだろ。何言ってんだよ」
どうしてそんなにひとりで背負おうとするの?これじゃあ私は、いつまでもグリーンにふさわしくない。本当の意味で隣になんか並べない。
「グリーンがそう思ってなくても、私はそう思っちゃうよ」
思いを吐露すると、グリーンは驚いた顔で私を見つめた。
「グリーンが優しければ優しいほど、私はこのままじゃダメだって、甘えてばかりじゃ嫌だって思うの」
声が震える。もう引き下がれない。
「………彼女なら、もっとちゃんとしないとって」
怖くてグリーンの顔を見ることができない。
怒ってる?それとも呆れてる?
きっと、生意気って思ったよね。
せっかくの楽しい時間を台無しにしてしまった。
お金を置いて帰ろうとリュックに手をかけると、腕をグリーンに掴まれた。
「何帰ろうとしてんだよ」
「だって…私今、グリーンに…」
こんな一面見られたくなかった。ほんとはいつも明るくてかわいい、リーフちゃんみたいな女の子になりたい。
それなのに、どうしていちばん大切な人にこんな自分を見せてしまうんだろう。