第6章 予選、野望、そして仲間
「自分だけ言いたいこと言って帰るつもりか?随分勝手だと思わねーか?」
返す言葉もなく、躊躇いがちにグリーンの顔を見つめると、ギロリと鋭い視線が返ってきた。
「オレも言いたいこと言わせてもらう」
掴まれた腕は解放してもらえない。
「……場所、変えるぞ」
そのまま強引に腕を引かれ、カフェを後にする。
パシオには大会出場などを理由に長期滞在するトレーナー向けの宿泊施設があり、私の部屋もその宿舎にある。
一方、グリーンはセントラルシティの豪華なホテルに滞在している。チャンピオンや四天王クラスの人たちは、ほとんどこのホテルに無料で招待されているらしい。
「ねぇ、やだっ……」
腕を掴まれたまま、グリーンが泊まる部屋へと連れて行かれる。
「帰りたいっ。おねがい、グリーン」
けれど、グリーンは無言のままドアを開けた。拒絶は聞き入れられず、そのまま部屋の中へと招き入れられる。
そして、何も言わず強く抱きしめられた。