第6章 予選、野望、そして仲間
ぎこちない会話を交わしながらふたりで歩き、セントラルシティの噴水にたどり着いたところで、シルバーくんが足を止めた。
「じゃあオレは寄るとこがあるから」
「うん。一緒に帰ってくれてありがと」
「勘違いするな。たまたま帰る方向が同じだっただけだ」
そのまま去るのかと思いきや、シルバーくんは不機嫌な顔を崩さないまま話しかけてくる。
「なぁ」
頭の上にハテナを浮かべながらシルバーくんを見つめた。
「……ロケット団、あんたも知ってるよな?」
急に話題が変わり、少し驚きつつも答える。
「ロケット団?もちろん」
カントーやジョウト出身で知らない人はいないだろう。
「今、ロケット団がパシオに来ているらしい」
以前グリーンにもチラッと聞いたことがある。そして、襲ってきたブレイク団も話していた。
「そういえばブレイク団が言ってた。ロケット団と手を組むって」
「知ってるなら、なおさらひとりで出歩く時は注意するんだな。ったく、きな臭い噂ばっかりで反吐が出る。あばよ」
「うん、また明日」
その言葉に、彼なりに心配して一緒に帰ってくれたんだと気づく。思い返せば、昨日襲われたのを助けてくれたのもシルバーくんだ。
シルバーくんの背中に向かい、ありがとうの気持ちを込めて、手を振って見送った。