第6章 予選、野望、そして仲間
どうして“仲間”って言葉を頑なに否定するんだろう?
心の壁が高すぎるのか、それともまだ私が信頼されていないのか。理由はわからないけれど、シルバーくんはなかなか心を開こうとしない。
せっかくチームを組んだのだから、いつかは友達になれたらいいな。
「おい」
「は、はいっ!」
考えに耽っていると突然呼びかけられ、思わず背筋が伸びた。
「オレは明日、トレーナーズサロンで声かけてみる」
「あ、うん、わかった!」
って、とっさにうまく返せなくて変な返事をしてしまったけれど……これはつまり、チームメイトを探しに行こうって誘ってくれてるんだよね?
「私も午後なら行けるよ!そのあと一緒に特訓もしない?」
「ああ。予選まで時間がないから、毎日練習は入れた方がいいな」
顎に手を添えて、思案するような仕草を見せるシルバーくん。
いきなり誘ったうえに勝負は引き分け。それでもチームを組んでくれて、今はこうして真剣にWPMのことを考えてくれている。
冷たいように見える態度の奥に、熱い情熱を秘めている彼はとても頼もしくて、誘ったのはこっちなのに、気づけば私がその背中を追っていた。