第6章 予選、野望、そして仲間
「…うんっ!」
置いて行かれないよう、早足な彼について行く。まだ怒った顔してるかなと思い、横に並んで顔を覗き込むと、きゅっと口を結んで睨んできた。
「なにニヤニヤしてんだよ」
「せめてニコニコって言って。やっとチームメンバーができてホッとしたの」
パシオに来てからレッド、リーフちゃん、そしてグリーンに甘えっぱなしだった私だけど、初めてこの島でみんなの力を借りずに前に進めた気がして、それが何よりも嬉しかった。
「勘違いするな。オレはWPMで倒したいヤツがいるからお前と組むだけだ。弱かったらすぐに抜けるからな」
「う…」
威圧されひるんだものの、いつものネガティブを閉じ込めて明るくふるまった。
「初戦でそうならないようにがんばるから、これから仲間としてよろしくね」
「仲間じゃない。あんたとオレは、たまたま目的と手段が一致した“知り合い”だ」
「そっか…わかった」
さすがにちょっと堪えたので、シルバーくんから距離をおいてトボトボと歩く。確かに、ほぼ初対面なのになれなれしかったかもしれない。
「……さっさとメンバー探してエントリーしないとな」
前からシルバーくんの声が飛んできた。質問しようとしたその瞬間、まるで先回りされたかのように続けざまに言葉が返ってくる。
「言っとくが、オレにあてはないから期待すんなよ」
「私も今のところないから、まずは情報収集からしてみるよ」
と言って、リュックからポリゴンフォンを取り出した。
「あの…よければ連絡先交換しない?いい情報があれば共有しやすいし、仲間だし…」
すると、急に止まるのでぶつかりかけて慌てて後退る。振り向いたシルバーくんは、ワザとらしく目を細めて機嫌悪そうに口を開く。
「仲間じゃなくて知り合いだってさっき言っただろ」
そう言いつつも、どうやら連絡先を教えてくれるみたいだ。ポリゴンフォンをポケットから出し、面倒そうに私のユーザー情報を登録すると、くるりときびすを返し歩き始めた。
ポリゴンフォンに表示されたシルバーくんの名前を見て、嬉しさに顔がほころぶ。やっと見つけた1人目の仲間、否、チームメンバーだ。
「ぐずぐずすんな。置いてくぞ」
「はーい」
ポリゴンフォンをしまって歩みを再開した。