第6章 予選、野望、そして仲間
サンダースがホウオウの死角に回り込んだタイミングを見計らい、すかさず叫んだ。
「10まんボルト!」
「じしん!」
「え!?」
互いの弱点を突いた攻撃が同時に繰り出される。
ホウオウは強い電撃を全身に浴び地上へと落下、一方でサンダースも激しい地面の揺れに身体を打ちつけて倒れ込んだ。
昨日に引き続きまたしても"じしん"…!トラウマになりそうだ。
昨日の反省を活かせなかった自分が悔しくて歯噛みする。
「油断したな?こっちがひこうタイプで不利なんだから、対策を練ってくるに決まってるだろ」
図星だった。にほんばれの効果もあるし、頭の中では、ほのおタイプのわざ対策ばかり考えていた。
「サンダース大丈夫!?」
私の声に耳がピクリと反応する。まだ動けるようでホッと胸を撫で下ろした。
「ホウオウ!今のうちにじこさいせいだ!」
ホウオウの身体が焔に包まれると、みるみる傷が癒えてゆく。サンダースが起き上がった頃には、傷を負った翼はすっかり再生してしまっていた。
けれど、サンダースもただ倒れていたわけではない。ホウオウが回復する間にじゅうでんして次の攻撃に備えていた。僅かに残された体力で一撃必殺を狙う。
サンダースの体内に電気が溜まり、全身の体毛が鋭く尖り始める。電気を蓄えた体毛からは電流が飛び散り、バチバチと鳴っている。
ホウオウもサンダースを迎え討とうと、翼から神秘的な焔を生み出した。
「どうやら次で決着がつきそうだな」
男の子は静かに、どこか覇気を含んだ声でそう呟いた。
緊張や不安の先——強い相手を前にした時に湧き起こる、言いようのない高揚感に胸の奥が奮い立つのを感じる。
負けない。負けたくない。この人と一緒にWPMに出たい!
「いくよサンダース!!」
バディーストーンが光り輝く。どうやら、今日は私とサンダースに応えてくれそうだ。
「お前の実力、見せてみろ!!」
互いの叫びが重なり合い、烈火と雷轟が激しくぶつかり合う瞬間、視界が白く灼けた——。