第6章 予選、野望、そして仲間
翌日——約束の時間、約束の場所に約束通り彼は現れた。
「さっさと始めるぞ」
「お願いします!」
「ルールはバディ1体ずつ、道具使用禁止、先に戦闘不能になった方が負けだ」
「わかった!」
間合いを取り、互いにバディの背後へ立つ。男の子と視線がぶつかり合うと、彼は余裕げな笑みを浮かべた。
はじめて挑む伝説のポケモン。緊張と高揚で心臓の鼓動が高まる。そんな自分を鼓舞するように声を張った。
「全力でいきます!」
「このオレに挑んだこと、後悔させてやる!」
——戦いが始まった。
「エレキフィールド!」
先制を取ったのはこちらだ。サンダースは、力強い咆哮を響かせながらエレキフィールドを展開した。
「ホウオウ!雲を蹴散らせ!」
ホウオウも天に向かい大きく鳴くと、頭上の雲が風に吹き飛ばされ晴天になる。
にほんばれとエレキフィールドで、互いのわざの威力が増幅する状況。勝負はきっとすぐにつく。
サンダースは攻撃の照準を絞らせないよう、止まることなくフィールドを駆け回り翻弄する。
(スピードはこっちの方が速い!)
普段から、すばやさを鍛え抜いたグリーンのピジョットに慣れているし、スピードには自信がある。上空で旋回するホウオウは、サンダースを目で追うだけで精いっぱいに見えた。
正直、私自身もサンダースの速さについていけなくなる時がある。そのせいで絶好のタイミングを逃したことも一度や二度じゃない。
ポケモンがいくら強くても、トレーナーの判断ミスで負けることはある。読み合いがすべてのポケモン勝負では、一瞬の判断が命取りになる。
固唾を飲みながら次の指示のタイミングを見計らう。わざを外してカウンターをもらうのは絶対に避けたい。
対角線上にいる対戦相手の様子を見る。男の子も、サンダースを目で追いながら、攻撃の隙をうかがっているようだ。