第6章 予選、野望、そして仲間
もう既に周りでは続々とチームが決まっている中、こんなに素敵なトレーナーを見つけたんだ。声をかけなきゃ一生後悔する。
深呼吸してから、恐る恐る口を開く。
「あのね、私っ、WPM出たいんだけど、まだチームメンバーひとりも決まってなくて…」
緊張で声が上ずってしまう。こんなことすらスラスラ言えない自分が恥ずかしくなってきた。
「あんた、グリーンと出るんじゃなかったのか?」
まさかこのタイミングで、男の子の口からグリーンの名前が出るとは思わなかった。
グリーンを呼び捨てということは——
「もしかしてきみ、グリーンの知り合い?」
「たまにトレーニングで世話になってる」
「そうだったんだ!」
グリーンは、積極的にいろんなトレーナーとコミュニケーション取ってるもんなぁと、普段の様子を思い浮かべて納得する。
「あんたらこの前、きずなの大会で組んでただろ。なら、仲良しごっこに混ぜてもらえよ」
剣呑な目つきが私を突き刺す。「これ以上話しかけるな」という圧をものすごく感じる。
だけどここでひるんではだめだ。受け身でいたから、今の今までメンバーが決まらなかったんだ。
足元を見やると、サンダースが耳を揺らして私の様子を見守っている。耳をフリフリしてエールを送っている——そんな気がした。
エールに応えるため、眼前の男の子に真剣な眼差しを向ける。