第6章 予選、野望、そして仲間
グリーンが私をひとりにしたがらなかった理由を、今更ながら痛感する。自分の甘さと弱さにはもううんざりだ。
“絶対大丈夫”なんて言っておきながら、全然大丈夫じゃなかった。
「さっきは本当にありがとう。キミ強いんだね。ブレイク団が一撃だったもん」
男の子はあからさまに不機嫌になり、顔をしかめる。
「オレは最強になるためにパシオに来た。あんな弱者の群れに負けるわけないだろ」
強さを追い求める真っ直ぐな言葉。誰にも負けたくないという強い気迫を感じる。
「なら、WPMももちろん出るんだよね?パシオと言ったらWPMだもんね」
と尋ねると、険しい顔つきで目を伏せた。
「……オレは、馴れ合いは好きじゃない」
「え?」
意外な言葉に一瞬思考が停止し、まさかと思い聞き返す。
「ええと、つまり、WPMは出ないの?」
返事の代わりにプイッとそっぽを向いた。
「どうして?そんなに強いのにもったいないよ!」
「チッ………余計なこと喋りすぎた。行くぞホウオウ」
「待って!」
スタスタと歩き出した彼を呼び止める。足を止めた男の子は、振り返りざま苛立ちをぶつけるように吐き捨てる。
「なんだよ!こっちはもう、あんたと話すことなんてない!」
話すことがないと言いながらも無視しないあたり、冷酷になりきれていない。なんだか不思議な人だ。