第2章 Ever green!①
「ナナ、明後日の大会、オレと組めよ」
グリーンの瞳が私を捕らえる。
そういえば、さっきのお誘いを、いつもの冗談だと思って聞き流したままになっていた。
「組むって、そんな急に言われても…」
「お前さっき言ったよな?無理やりにでも誘えって」
それは架空のトレーナーさんの話であって私ではない。
隣に並びたいとは言ったけれど、それはあくまでもいつか強くなって対等になりたいという意味で、今すぐというわけでは…。
今の私の実力では、足手まといになってしまうのは目に見えている。
「無理だよ。だって、さっきボロ負けだった。サンダースの良さを全然引き出せなかった」
こんな風に言ったら、きっと「オレ様が強すぎるだけだ」とでも言ってくるにちがいない。
と、身構えたけど、予想外の言葉が返ってきた。
「ナナは強いぜ?」
「え?」
「さっきの戦いで、お前が指示していたわざは、どれもサンダースのすばやさを活かしたいいチョイスだった。2発目のかみなりを避けられなかったらどうなってたか分からねぇ」
「本当?」
「あぁ、オレ様の隣にふさわしい一戦だったぜ!」
はじめて…褒められた…?
「でもっ、私っ」
動揺を隠しきれず言葉がつかえる。
「こっち見ろ」
頬に添えられていた手が顎を掴み、顔をグリーンの方へ向けさせられる。