第6章 予選、野望、そして仲間
「なに言ってるの」
怒りの感情が私を支配する。行き場のない悔しさに、硬く唇を結んだ。
自然の中で自由に暮らしていたポケモンを、人間は捕らえ、戦わせ、家族にし、時には力を借りて共に生き、文明を発展させてきた。
本来、この子たちには何の罪もない。人がポケモンを利用して悪さをするんだ。
なんて人間は愚かなんだろう。こんな奴らがいるからポケモンが苦しむんだ。
「許さない!」
次の指示を出そうとした刹那、ふと、風船状の身体を萎ませて横たわるフワライドが目に入った。ひんしのこの子がさらに攻撃に巻き込まれたら——?
ほんの一瞬、次の攻撃を躊躇したその時だった。
「じしん!」
「っ!?しまった!」
ワルビアルが大地を揺らし、サンダースの小さな身体が地面に叩きつけられる。何度も、何度も。
「サンダース!」
「キュ、イ…」
「お嬢ちゃん、なかなか強かったけどよ、相性ばかりはどうにもなんねーから諦めな」
ジリジリとスリーパーとワルビアルが、サンダースににじり寄る。
じめんタイプに太刀打ちできるわざは、今のこの子は覚えていない。ならば別の手持ちのポケモンを——
「スリーパー!かなしばり!」
「…っ、身体がっ!」
迂闊だった。まさか自分の動きを封じられるとは思わなかった。
「アッハッハッハ!これはポケモン勝負ではなくビジネスです!なので手段は選びません」
スーツの男が、勝ち誇ったように不気味な高笑いを響かせる。
身体を動かそうとしても、石のように固まり、脳からの指令に神経が反応しない。
いやだ。負けたくない。サンダースを奪われたくない!
悔しさに泣きそうになるのを堪える。こんな奴らに涙なんか絶対に見せてたまるもんか。