第6章 予選、野望、そして仲間
見覚えのある男性3人組が、私とサンダースの前に立ちはだかる。
「よぉ嬢ちゃん。俺らのこと覚えてるよな?」
「忘れたなんざ言わせねぇぜ!」
お揃いの黒白のマスク、黒いスーツにアタッシュケースを持った男、スカジャンのガラの悪そうな男、山のようにガタイのいい大男。
この間、グリーンが倒したブレイク団だ。
「な、何の用ですか」
キッと睨みつける。握りしめた拳が震えるのは、怒りなのか恐怖からなのか。
「単刀直入に申し上げますと、そこにいるサンダースを譲ってくれませんか?我々は先日、貴女のツレに随分とひどい仕打ちを受けましてね。報復の機会を伺っていたのですよ」
スーツの男は皮肉を込めて会釈をする。丁寧な物言いに反し、内容は穏やかじゃない。
「この間、グリーンにアジトを潰されたのに、まだこんなことやってるんですか。一体ポケモンを何だと思ってるの?」
「何って、商売に決まってるだろ!立派な仕事だよ!」
「あいつにアジトを壊滅させられたせいで、俺たちのメンツは丸潰れだ!せっかくこれからロケット団と手を組んで盛り上がるとこなのによ!」
「コラ!余計なことは言わない!」
と、大男の言葉を制して、スーツの男がアタッシュケースからモンスターボールを取り出した。
「まぁ、口で言っても素直に従わないのは分かっています。ならば力尽くで奪うまでです!」
ブレイク団が一斉にモンスターボールからポケモンを呼び出した。出てきたのはスリーパー、フワライド、ワルビアル。この間と同じ3匹だ。
不安と恐怖で足が震える。胸の奥が痛い。本当は今すぐ逃げ出したい。けれどこの子を連れて3人から逃げられる保証はない。
グリーンに連絡する?いや、たくさんの人がイベントを待っている。迷惑はかけたくない!なら私たちでやるしかないっ!
「いくよサンダース!!」
「キュィィイ!!」
震える手を前方に向けて叫ぶ。
「エレキフィールド!!」
足下に電気が駆け巡る。