第6章 予選、野望、そして仲間
きずなの大会で少しは自信がついたものの、やっぱり私は実力不足。
比べることすら図々しいほど、幼馴染の3人は強い。パシオでの活躍ぶりや名だたるトレーナーとの交流、数多のファンを見れば一目瞭然。
分かってはいても、その存在が近ければ近いほど、つい自分と比べてしまう。卑屈になってしまう。
特に、グリーンと付き合い始めてからそれは顕著になった。
焦らずに自分ができることを積み重ねればいい。人と比べても仕方がない。何度も自分に言い聞かせてきたけど、心の癖はそう簡単には直らないみたいで、一時は落ち着いても、またすぐに些細なことでぐらついてしまう。
だけど、特訓に打ち込んでいる時だけはネガティブを払拭できた。だから、サンダースとの修行の時間を大切にしてきた。
なのに、今日はバディーストーンは反応してくれなかった。これじゃあ余計に不安になってしまう。
「WPMで優勝するなんて、グリーンに言わなきゃよかった」
トレーナー同士の交流の場であるトレーナーズサロンに顔を出してはいるものの、きらびやかな経歴のみんなに萎縮してしまい、まだチームメンバーはひとりも見つかっていない。
各地のジムを巡った時にお世話になったジムリーダーはいるけど、友達と呼べるほど親しい人はいないし。
このままじゃ、予選にすら参加できない。かと言って、幼馴染トリオに加えてもらうのは筋違い。
第1回WPMチャンピオンの3人はシード枠で特別な存在。
なにより私は、あの3人を目標にしているのだから。