第6章 予選、野望、そして仲間
イベントの詳細を聞くと、第2回WPM(ワールドポケモンマスターズ)開催に向け、3対3チームバトルの実践形式の説明会があり、レッド・グリーン・リーフちゃんが大会公認の講師トレーナーとして呼ばれているらしい。内容は初心者・観光客に向けたもので、説明会というよりも、大会の宣伝に近いものだとかなんとか。
3人は、前回のWPMチャンピオンであり、実力・知名度ともにトップクラス。広告塔としてパシオで引っ張りだこになっている。
「レッドも修行に集中しているのか、全然連絡取れなくて」
リーフちゃんは困ったように頬に手を添え、ため息をこぼす。
「レッドなら火山エリアにいるよ」
「なんでナナが知ってんだよ」
「なんでって、おすすめの修行場所を聞いたら、今日は火山に行くって言ってたから」
正確には“言ってた”のではなく、火山を指差していたのだけど。
「へぇ、いつの間にそんなやり取りしてたんだか」
「火山のエリアは電波弱いから、気づいてないのかも。わたし行ってみる!」
「いい、オレが行く。リーフは運営事務局に戻って、すぐ向かうって伝えてくれ」
「そう?じゃあお願いね」
「あと、こいつも頼む」
グリーンに肩をポンとされる。こいつってのは私のことらしい。
「もちろん。ナナちゃん、私と一緒にセントラルシティ戻ろう」
「あ、私はもう少し特訓したいからここに残るよ」
そう告げると、なぜかグリーンの表情が曇った。
「だめだ。ひとりでいて、この前みたいにブレイク団と遭遇したらどーすんだ」
「平気だよ!毎日グリーンに特訓してもらって強くなってるもん………たぶん」
「その“たぶん”が心配なんだよ」
「って心配症な彼氏が言ってるから、わたしと戻ろっか」
困ったようにリーフちゃんが笑う。
「じゃあたぶん取り消して絶対!大丈夫だから!ね、サンダース」
「キュイ!」