第6章 予選、野望、そして仲間
「リーフ!いつからそこにいたんだよ」
流石に幼馴染にじゃれあいを見られるのは恥ずかしいのか、グリーンが焦っている。
「うーんと、"なんで悪いことしてないのに"ってとこからかなっ」
最悪だ。開発だなんだって話も、ばっちり聞かれていた。
「あまりにもラブラブで話しかけるタイミング失っちゃって」
リーフちゃんは、恥ずかしそうに視線を逸らしながら、胸の前でそっと人差し指同士をつつき合わせる。
「違うのリーフちゃん!これは、決してそういうことじゃなくて、グリーンが変態だから…!」
「言い訳が下手すぎんだろ!」
下手と言われても、事実だから仕方ない。
「んもぅ、ふたりったら、てっきりポケモン勝負してるかと思ったら…」
伏し目がちにつぶやくリーフちゃん。耳まで赤くなっていて、見てるこっちが余計に恥ずかしくなってくる。
「……で、何の用だ?イベントは午後からだろ?」
乱れたシャツを直しながら、グリーンがベンチに腰を下ろす。
「そうそれ!」
思い出した!という顔で、リーフちゃんがこちらに向き直る。
「運営の人に頼まれて呼びに来たの!予定より申し込みが多かったから早めに開始したいんだって。WPMの予選ももうすぐ始まるでしょ?それで応募が殺到しているみたいなの。連絡来てたはずなんだけど…何度送っても返事がないって、すごく困ってたわよ」
グリーンは渋々とポリゴンフォンの通知履歴を確認し、頷いた。
「わりぃ。トレーニング中で気づかなかった」
「ほんとにトレーニングだったのかしら?」
からかうような目つきで、リーフちゃんが私たちを交互に見る。
「嘘じゃねえよっ」
頬を赤くしてグリーンが睨んだ。