第4章 俺が想いを伝えた時の話
「ちょっとだけ、恋人ごっこしよう?」
「馬鹿なんじゃねぇの…。そんなん断れねぇよ。」
恋人ごっこ。コレがごっこ遊びだとしても、それでもいい。傍に居られたら、それだけで幸せだ。
「……んっ。」
「…っ……。(い、良いのか?コレ…。)」
可愛らしく瞳を閉じたが傍に居て、色んな顔が見られるのなら。それが俺しか知らない、そんな顔だったら。こんな幸福無いだろうと思う。
「…………接吻、してくんないの?」
「………だ、黙ってて…くんねぇかな!!」
「…ふふっ、じゃぁ…んっ!!」
そんな事を思いながら小さな赤い唇に意を決して、一瞬だけ熱を寄せた。
「……。(…めちゃくちゃ柔けぇ…。)」
「ふっ、ふふっ。真っ赤。」
「…っるせぇっっ!仕方ねぇだろっ!!」
その日の夕食の味は緊張で全く分からなくて、いつか食べた季節外れの西瓜を思い出した。