第5章 私は忘れられなかった話。
「じゃあ俺…寝る。……おやすみ。」
「………うん、おやすみ。」
気まずそうに__スタスタ。と部屋を去った玄弥君を見送ってから私は深いため息を着いた。
「………照れてるだけなら良いんだけど…。」
この【私を避けている。】というあからさまな行為がただの照れなら良いのだが不安はどんどん募る。
「(あんなに赤い顔で接吻してくれたのにな…。)」
あの日、口付けをしながら合わせに手を這わせて居た彼は気の毒な程赤くなっていて、私はとても嬉しかったんだ。しかし、あれから全く触れてくれない。いや、触れる何処かまともに話もしてくれない。
そんな現状に私は頭を抱えて呟いた。
「…………う”ー、寂しい。」
__…寂しい。不安。そんな気持ちでいっぱいだった私は襖が静かに開いていたのに気がつけなかった。