第3章 私の大切な継子の話
「これだけ触れ合っていたら。
…邪な気も…それなりには起こる。」
可愛らしい。そんな心象を乗せて言葉を送るとは分かりやすく距離を取り慌て出す。
「…………へ!?あの、えっと!!」
あまりにも慌てるものだから、ソレが可笑しくて茶化すようにを抱きとめて膝の上に戻した。
「くくっ、どうした。離れてしまうのか?」
「か、揶揄ったんですか!?」
「さぁ、好きに捉えれば良い。」
「ぜ、絶対そうじゃないですかっ!!」
拗ねた時、は可愛らしい癖がある。ソレが気に入っている私はその癖を指先でつまんだ。
「……また口を尖らせているのか?」
「………つ、摘まないで下さいよ。」
小さな上唇を尖らせる幼子のようなこの癖はいつまで治らないのだろうか。出来たらずっとこのまま治らないと良いとそう思う。
「…。(どんな顔をしているのだろうか。)」
の顔を直接この目で見てみたい。最近度々そう思う様になった。
「(顔を見れたら。私は気狂いになりそうだ。)」
きっと、思い描くより可愛らしい顔つきなのだろう。それを見たら、私はきっとを離してやれなくなるのだとそう思う。
「………あの、帰らなきゃ駄目ですか?」
甘える猫のような可愛らしい声を否定はできない。
「いや……もう寝てしまおう。面倒だろう。」
「…………はいっ!!」
私の腕にちょこんと乗る頭は、信頼の証なのだろう。ソレがほんの少しだけ心臓を締め付ける。
「(こんな小さな身体で、私を守ろうなどと言うなんて。………本当にどうしようも無い娘だな。)」
こんなに愛しい娘に己などを守らせてたまるものか。そんな自分の意地は一生口にはしないだろう。
私を生きる意味だと私を守りたいんだ。とひたむきに強くなるにもう辞めろ。と、お前は普通の幸せを。とひたに願いながらも、それが無くなってしまったらこの腕の中から消えてしまうのだろうかと、自分らしくない葛藤をした雨の夜。
__コレが、何よりも大切な私の継子の話。