第3章 私の大切な継子の話
□大切な継子の話
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長い回想を終えた私は少々困っていた。
「(…しかし、いい加減この癖は治さねば…。)」
「悲鳴嶼さん、考え事ですか?」
雨の夜に私の寝床に訪れる癖はそろそろ治さなくてはならない頃合だろう。
「…お前が来たばかりの頃を思い出していた。」
「へへっ、随分迷惑かけましたよね。」
「あぁ、箸もまともに持てぬ、字も書けぬ、文字も読めぬ…お前はとんでもなく手がかかった。」
「………う”。ご、ごめんなさい。」
あの頃は幼かったも、随分と成長した。
「ソレでも、随分といい娘に成長した。」
なんの躊躇いもなく私の膝に座り抱きついているが、歳の頃の娘にそんな事をされればいくら私であっても邪な考えが起こらない訳が無い。
「………お、お父さん…目線なんですか?」
「…いや、どうだろうか。…そうでも無い。」
「……………そうでも無い…ですか。」
確かに【自分の娘】の様な感覚もあるのだが、それとは少し違う感覚も混ざっている様に思う。
「……随分いい娘になったと言っただろう。」
「……………?ありがとう、ございます。」
なんの事だか分からないと首を傾げる様子が可愛らしく、思わず目じりが下がる。