第3章 私の大切な継子の話
「…私が彼女の面倒を見ようと思う。」
「…悲鳴嶼さんが、ですか?」
私の言葉が意外だったのだろう。目を見開くカナエに理由を説明することにした。私も何も考え無しに直感のみでそう決めた訳では無いのだ。
「あの細腕で私の骨を折る。それは才能だ。」
怪我だらけで痩せこけた小さな少女のこの腕力。健康な生活を送り鍛え上げたら確実に強くなる。
「死を望み絶望しながらなも、最後は何かの為に…と思える心は…心底諦めが悪く、強いものだ。」
死にたいと思う時に、せめて糧になりたい。…等と考えつく者が弱者な訳が無い。
「何より…。あの娘が、鬼と人が同じだとそう言った時の…あの声が忘れられないんだ。」
コレが決定打だった。心の叫びを投影したような必死な声は私の耳にまとわりつくように残っている。どうしてもこの少女の先が見てみたくなったんだ。