第3章 私の大切な継子の話
□良く似た2人
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「2本ねぇ。パッキリ折れているわ。
今回は随分強い鬼だったんですねぇ。」
泣き疲れ眠ってしまった少女を病室に寝かせたあと、カナエに見てもらうと案の定肋は折れていた。
「いや、子供だ。」
「ん?…えーと?どういう事でしょう?」
「先程運んできた娘が折った。」
「…あ、あらあらぁ…。お転婆さんねぇ。」
カナエが驚愕の顔色をするのも無理はない、なんの鍛錬もしていない幼い少女がこんな大男の肋を折るなど、誰が予想できるだろうか。
しかしその事実は、紛れもない証明でもある。
「アレは、強くなる。」
確実に強くなれる。あの細腕にどうしてそんな筋力が眠っているのかは謎だが、その才覚はそれだけでも充分に証明出来る事柄だ。
「カナエ。」
「何ですか?」
「お前とあの娘は随分気が合うだろう。」
そして、カナエとよく似ているのも私が【この娘は強くなる。】と確信した一つの理由だ。
「………そういう子、なんですね。」
カナエの言う『そういう子。』の心理は明確には分からないが、この2人はとてもよく似ている。
「…酷く優しい心根を持った娘だ。」
偏見の目は一切向けず、事実を受け入れ己の意志を貫ける。そういう人間だと私の直感が言っていた。
「お前の様に、育つのだろうな。」
「ふふっ、私みたいに…ですか?」
「あぁ、私はそう思ったから連れてきた。」
「…………連れてきた、ですか?」
連れきた。という言葉にカナエは首を傾げた。
きっとこの先の言葉の予想が着いたのだろう。