第2章 私が貴方を好きになる迄の話。
□可愛い君のかっこいい所。
「……あれ?…玄弥君?」
「げ!?…な、何でここにいるんだよ!」
「げっ!!て…。私も帰りなんだよ。」
岩柱亭から5キロほど離れたところで、
任務帰りの玄弥君とバッタリ鉢合わせした。
「ちょ、ちょっと、待って…多分すぐ戻るから。」
「なに?また顔赤くなっちゃった?」
「ち、ちげぇよ!!違うんだって!オィっ!!」
何やらコソコソと歩く玄弥君に近づくと
慌てて顔を隠すものだから、
どうしても気になって顔を覗き込んだ。
「へぇ…そうなるんだ。」
「…あんまいいもんじゃねぇから見るなよ。」
玄弥君の目はまだ黒く
鬼化が溶けきって居なかった。
なるほど、だからか。とは納得したが、
ちょこっと見える犬歯とその目を見た私は
どうしても欲望が抑えきれなかった。
「………ねぇ、ガウッ。てやって?
こう、手をこう曲げて、ガウッ!!って。」
私の珍味な注文に首を傾げつつも
彼は遠慮ガチに手を曲げて、口をゆっくりと開く。
「…?……が、ガウッ。」
何が何だかんだよく分からない様子の玄弥君に
私は耐えきれず、ぴょんっと勢いよく飛びついた。