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【鬼滅の刃/不死川兄弟】紫苑ノ端唄【原作沿い】

第2章 私が貴方を好きになる迄の話。




「私は、悲鳴嶼さんを守りたいんだぁ。」
「ひ、悲鳴嶼さんを?」

予想通り驚愕の声色をあげた玄弥君を
ひと笑いしてから、私は自分の手を見つめた。

「うん、…だから、一生懸命強くなったの。」

この私の手は、
悲鳴嶼行冥という人を守る為にあるんだと
そう思って、私は必死に強くなった。

「悲鳴嶼さんは守られたいなんて思わない人だから。」

初めて会った雨の夜、
希望を摘み取られたと思った私は
悲鳴嶼さんに罵倒しながら殴りかかった。

「…強くて、優しくて。
…守られたい何て思いつきもしない。
そんな人だからさ、私が…守りたいんだ。」

そんな私を、滝のような涙を流しながら
抱きしめてくれた時に、固くて暖かい腕の中で
何故か生きないといけないとそう思った。

「悲鳴嶼さんの為に…なりたいんだ。」

それからも彼は、沢山の雨から私を守ってくれた。

なんで私なんかを家に置いて面倒を見ているのか、
と聞いた時、彼は当たり前のように
『殴りかかられた時に肋が2本折れたからだ。
お前には才能がある。』と、とでもない返答をして
私が吹き出したのは、一生忘れられない。

そんな少し抜けた所も、大好きなんだ。

「……届くのにはだいぶ苦労しそうだけどね。」
「そりゃなぁ。相手が悲鳴嶼さんじゃぁな。」

道のりは遠すぎる程遠いけど、
それでも私は諦める気はさらさら無いんだ。


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