第1章 俺が彼女を好きになる迄の話。
□出会い始まりあの人の特別
初めて会った時、
俺はガチガチに緊張していた。
「はじめまして!私は!
ふふっ、ついに初めての弟弟子かぁ。」
顔が丸っこくて、人懐っこそうな笑顔の
可愛らしい普通の女の子。
それがの第1印象だったと思う。
「…あ、あの。…えっと。」
「よろしくね!玄弥君っ!!」
「よ、よろしく。お願いします。」
人懐っこい性格に、優しげな見た目。
俺が何も話さなくても
何時もニコニコしていて自然と隣にいる。
そんなと仲良くなるのに
さして時間はかからなかった様に思う。
ごくごく自然にそうなったんだ。
そして悲鳴嶼さんは、
そんなの事となると、
嬉しそうに、そして誇らしげに話す。
「が何故強いのか、
玄弥にはその道理がわかるか?」
上背も筋肉も至って普通な筈なのに、
悲鳴嶼さんと揃いの武器をぶん回すは
確かにその辺の隊士よりも格段に強い。
俺も見た目と強さの異差に初めは目を丸くしたが、
一緒に鍛錬を初めてからは
その異様な強さも納得せざるおえなくなった。
「才能もあるし、努力家だから。ですかね。
あいつが弱音を吐くとか見た事ないですし。」
きっとあの細腕に詰まりに詰まった筋肉こそ
生まれ持った才能なのだろうが、
が強いのは
弱音を吐かずに人の数倍鍛錬する。
その気概が1番の要因だろうと思う。
そんな俺の答えに目を細めた悲鳴嶼さんは、
満足気に話出した。
「そうだな。それも確かに要素ではあるが、
それよりも人を巻き込む才覚があるから強いのだ。」
「人を巻き込む才覚…っすか。」
人を巻き込む才覚。
それを聞いて俺は思わず口角を上げた。
確かにそうなのかもしれない。
「悲鳴嶼さんも…。
その才覚に絆された。って事ですか?」
少なくとも俺は、
この人がこんなに優しい顔をしているところは
見たことが無い。
詰まるところ、
この人も巻き込まれた1人なんだろうと
俺は1人で納得した。
「さあ、休憩は終わりだ。」
「はい!!」
下手くそに誤魔化した悲鳴嶼さんは、
スタスタと鍛錬場へと足を進めた。