第1章 俺が彼女を好きになる迄の話。
___俺には好きな女の子がいる。
「こら、玄弥君!また水ガブ飲みして!!
悲鳴嶼さんもそんな滝の様に
お水流し込んじゃ駄目ですよ!
玄弥君はいつまでも飲み続けちゃうんだから!!」
そう言いながら、クスクス笑う顔が好きだ。
怒鳴っている癖に何故か丸いその声は、
小雨の音のように耳触りが良くて心地が良い。
「ぶはっ。…いいじゃん。水くらい。」
「そんなにお水ガブガブ飲んで
お腹ちゃぽちゃぽしないの?」
覗き込む顔にいつも顔が__ボッ。と熱くなる。
くりくりした目がこちらを見る度に
落ち着かなくて心臓が突然煽り出す。
「お前達…遊んでいないで始めるぞ。」
「「はいっ!!」」
俺が好きなと言う女の子は、
悲鳴嶼さんの継子で俺の姉弟子だった。