第2章 私が貴方を好きになる迄の話。
「(…隠し方、下手くそだなぁ。可愛い。)」
私はあまりにも下手くそすぎる誤魔化しに
顔が緩みそうなのを何とか正して、
気まずそうにそっぽを向く彼の前にしゃがみ込んだ。
「……軸がズレてたよ。」
「……へ?」
人形を枝で地面に描きながらなら、
きっと彼にもわかるだろう。
出来るだけゆっくりと説明しよう。
「身体の軸がいちいちブレてるの。いい?
身体には中心線って物があって、…、聞いてる?」
私が説明を始めたのに突っ立ているので
少しムッとして顔を仰ぎ見ると、
彼は不安そうに呟いた。
「、………あの。」
「なに?」
無い眉を下げた姿が何故か嬉しそうに見えた。
「……お、教えて…くれんのか?」
どうやら私は本当に教えるのが下手だったらしい。
教え方こそ悩んではいたが、
初めての可愛い弟弟子なのだ、
教えるつもりはちゃんとある。
それすらも、彼には伝わって居なかった様だ。
「当たり前でしょ、私の弟弟子なんだから。」
私がそう言うと、彼は嬉しそうに目を輝かせて
私の説明を聞こうとしゃがみ込んだ。
その姿が姉に甘える弟のようで
心底可愛らしいと思ったから、私はまた顔を正して
嬉しそうな三白眼を真っ直ぐ見つめた。