第2章 私が貴方を好きになる迄の話。
「私がお前を継子にしたのは
紛れもなく才覚があり、それに付随する精神が
お前には備わっているからだ。
それを自覚しなさい。…私が全ての証明だ。」
優しくそう告げたてから
お決まりの涙を流した悲鳴嶼さんは、
答えも聞かずにお経を唱えながら何処かへ消えていった。
「………わかり、ました。」
もう悲鳴嶼さんには聞こえないだろう思いつつ、
私はポツンと1人そう呟いた。
『わかりました。』と、言うしか無かった。
あんなに優しく認められたら
否定なんてしたら失礼だとそう思ったんだ。
「…。(そんな事、言われてもさ…。)」
ソレでも私は、
弟弟子を教える自信がどうしても持てなかった。
綺麗な夕日すら私の事を情けない奴だと
そう、嘲笑っているように感じた。