第1章 俺が彼女を好きになる迄の話。
「気付いてるよ、だから水まんじゅうなんだよ?」
「……………は?(おぃおい、まさか…。)」
まさか、まさかとは思うが。この愛しそうな顔は多大なる勘違いから来る物なのでは無いだろうか。
「玄弥君も食べやすい様に、水まんじゅう何だよ。このお店のは周りが葛でとっても食べやすいし。」
不器用だけど1等優しい人だね。と嬉しそうに微笑んだの肩を、俺は_ガっ。と掴んだ。
「。?…ほ、本気で。
本気で、そうだと思ってるの?ねぇ!?」
「え、ど、どうしたの!?なに!?え!?」
俺の行動に目を見開くは随分鈍感らしい。兄ちゃんが優しい人だと言うのは否定しないが、あの熱烈な…いや、少し…いや、かなり可愛らしい兄ちゃんのアレの意図をは完璧に勘違いしている。
「ってさ…突然想いを告げられたりしないか?…こう、予想もしてなかった人に……。」
は自分の事をどう思っているのだろうか。
悲鳴嶼行冥、詰まるとこ岩柱の継子の女の子。馬鹿デカい武器をぶん回すは嫌でも目立つ。
実力はその辺の隊士の数段上で柱にも届くと噂が立つ程なのに、物腰は柔らかく顔も優しげで可愛らしい。そんな彼女は好意を寄せられる事が特別多いはずなのだが、まさかソレも分かっていないのだろうか。
「…まぁ、鬼殺隊は男性が多いからねぇ。」
「(……鈍感。ってやつだコレ。絶対そうだ。)」
俺はの肩を離して今日1番深いため息をついた。
「俺、心配だよ。気をつけてくれよ?」
「……?…うーん。分かった。」
絶対分かっていない。俺のその予想は直ぐに的中した。