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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第43章 はじめまして




これでもかと身構えていた私など、どこ吹く風で。天は何食わぬ顔顔で、満点の星空を見上げた。
私もまた、彼の隣で同じようにする。

星が降って来そうとは よく言ったもので、まさにその言葉通りだ。手を伸ばせば触れられそう。
そういえば、天とは以前にもこうして共に星を眺めた事があった。もっとも あの時は、本物の星空ではなく作り物だったが。


「キミと並んで星を見るのは、これで2度目だね」

『奇遇ですね。私も今、同じ事を考えていました』

「あの学園祭の出し物…、星斗の館 だったかな」

『はい。もう随分と前の事のようで…懐かしいですね』

「知ってた?あの時のボクは、星なんかそっちのけで。キミの瞳に映った星ばっかり見てたんだよ」


また、恥ずかしい素振りのひとつも見せないで、天は言ってのける。
こっちは、さっきから顔が赤くならないようにするので必死だ。


『…貴方のそのデレ、まだ続くんです?』

「ごめん。キミの困った顔が見たくて、ついね」

『意地が悪いですよ、天。それに、さっきから随分と回りくどいじゃないですか。
言いたい事があるなら、はっきり言ったらどうです?』

「キミ、好きでしょ。回りくどいの」

『それ 本気で言ってるなら、天は私の事を全く分かってませんね。私、自称サバサバ系ですよ』


実際いまだって、真綿で首を絞められている状況がもどかしくて仕方がない。
天が、私に何か言いたい事があるのは明らかだ。それならいっそ、ずばり言って欲しい。


「そうだよね。キミは、意外と直球タイプだから。何も考えず、熊に正面から立ち向かっちゃうような人間だ。
実際に戦った時は、偽物の熊だって気付いてなかったんでしょ?」

『!!
そう、ですけど。天は逆に、気付いてたんですか。あの熊が本物ではないと』

「後になってね。だって、さすがに熊には勝てないでしょ。いくらキミでも。
他の皆んなは、本気でキミが熊を倒したって信じてたけどね」


天はそう言って、底意地の悪そうな顔で笑うのだった。

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