第42章 そんなの、私に分かりませんよ
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「…気を許せる仲間、とは言ってたけどさ…。
さすがに許し過ぎじゃないかなって、ボクは思うよ」
『それは、四葉さんに対しての言葉ですか?それとも、逢坂さんに対してですか?』
「どっちもだよ!」
天がこう言いたくなるのも、理解出来る。それくらい今のMEZZO"の状態は、緩み切ったものだった。
環は私の膝を枕にして爆睡しているし、壮五は私の肩にもたれかかり、船を漕いでいた。
「はは。春人くんは、随分と2人に懐かれてるね」
龍之介は、そう言って2人にブランケットをかけてやる。
「誰にでも愛想振りまいてる結果じゃねえのか」
「なに楽。やきもち?」
「ばっ!そ、そんなんじゃねぇよ!」
唇を尖らせた楽に、天がニヤリと言い放った。それに対して楽が上げた大声に 環はピクリと反応する。
「ん……、好きぃ…」
その長い腕を私の腰回りに巻き付けて、そう呟いた。
『えっと…私を好きな人とでも間違えているんでしょうか』
「…さあな」
「ボクが全力で引き剥がしてあげてもいいけど?」
『それは少し可哀想では?』
「はは。可愛いなぁ、環くん。凄く気持ちよさそうに寝てる。まぁたしかに、春人くんの膝枕は凄く気持ち良いもんね」
「……そ、そんなに良いのか」
「楽、やめて。空いてる方の足を見ながら言うの」
「べつに俺は!そんな事…思って、ねぇよ!」
楽は、赤い顔をさらに赤くして叫んだ。なにも、そんなに必死になって否定しなくても良いと思う。
もう、頼まれても楽には膝枕はしてあげないことにしよう。
と、その時。私達が騒がしくしてしまったせいか、壮五の頭が 私の肩から落ちてしまった。
ガクっと落ちた頭を すぐに持ち上げた壮五は、私と至近距離で見つめ合う。
「………なんで」
『え?』