第41章 歳の差のせいにだけはすんなよ
『ん……ぅ』
ここはどこだろう。私はどうしてしまったのだろう。最後の記憶は…
あぁ、そうだ。たしか、辛いを通り越して痛いカレーを食べたのだった。そういえば、胃が熱い。
私は自分が気絶してしまった事を悟る。
「春人……た、体調は、どうだ?」
『えぇ…だいぶ良いです』
「そ、そっか!あはは…良かった、良かったよ…」
『龍が、私をここまで運んでくれたんですか?』
「今回キミを運んだのは…ボク」
『そうですか。それは迷惑をかけました。
ところで…
どうして全員、私と目を合わそうとしないんです?』
TRIGGERをはじめMEZZO"の2人も、視線が明後日の方向なのだ。目が合わないどころか、顔がこちらを向いてすらいない。
よく分からないが、違和感しかない。
首を傾げつつ ふと、足元に目をやる。すると、私の膝に何か文字が書かれているではないか。
『…誰です?私の膝小僧をこんな目に合わせた人は』
「がっくん」
「ちょっ、四葉!お前っ口破るのが早すぎだろ!」
『まぁいいですけど』
「いいんだ」
天は目を丸くして言ったが、いま私の膝はどうでも良い。どうせ、私が意識を失っている間に悪戯をしたとか そんなところだろう。
それよりも、もっと由々しき問題がある。
それは、私の靴が行方不明なこと。そう。あの厚底盛り盛り特別仕様の靴だ。一体誰が脱がせたのだろう。事と次第によっては、面倒になりかねない。
このコテージは土足。ベッド脇に脱がせた靴が置いてあっても不思議はないが、どうも見当たらないのだ。
『私の、靴…どなたか知りませんか』
「あ、それなら…」
質問にすぐ答えてくれたのは壮五。
「マネージャーが脱がせてたんです。その時に言ってました。泥が付いているから、玄関ではらってくるって」
『では、私の靴は玄関に…』
というか、どうして誰もが私の顔から目を背けるのだろうか。靴の心配が解決したら、もっと問い詰めてみよう。