• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第5章 さぁ、何をお作りしましょうか?




「変わった名前のカクテルだな」

「こちらは、ブランデーとオレンジキュラソー そしてオレンジジュースをシェイカーで攪拌したものになります」

「へぇ。…これにも、何か酒言葉?とかあるのか?」

「勿論でございます。このカクテルが持つ意味は
“ 待ち焦がれた再会 ” 」

「…そうか。……ありがとう、マスター。

本当に…どこに消えたんだろうな。再会を、願わずにはいられないなんて。今まで、経験した事なかったんだ。
くそ…っ」

「私も、共に願いましょう。
貴方が 愛しい女性と再会出来る日が来ることを」



私が席に戻ると。彼の、彼による、彼の為の Lio 語りが始まった。


「衝撃だったんだよ。初めてだった。他人の歌を聴いてあそこまで感動したのは。
まるで雷に打たれたみたいに、体が動かなくなって…」


なんとも言えない気持ちで、私はマスターの方をちらりと盗み見る。


「………」


にっこりと顔に笑顔を貼り付けて、私の方を見ていた。

今まで職業柄、かなり色々な人間を見てきた自負はある。しかし…このマスターほど、心が透けない人間には お目にかかった事は無い。



マスターのカクテルを堪能して、楽の Lio 話を山ほど聞いて。私達はやっと Longhi's を後にするのだった。

とにかく、私は思いもかけず楽と仲直りをする事が出来た。その手助けをしてくれたマスターと この場所には、大いに感謝したい。

私にとって、絶対になくてはいけない 大切な場所。




「…ふふ。お酒と空間の力を借りて、少しでも皆さんが あぁやって心の重りを軽くする。すると
…いらっしゃった時よりも、帰る時の方が 明るい表情になる。

その顔を見る事が、この仕事をやっていて 一番嬉しく思える瞬間ですね」

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp