第35章 いつのまにか、その種は芽吹いてた
おまけ②
●Longhi'sで2人呑み
大「ここに来るのは1年ぶりぐらいか?
っていうか なに、普段こんなお洒落なとこで飲んでんの?さすがTRIGGERの八乙女楽様は違うなぁ」
楽「未だに居酒屋で飲んでるお前らの方がおかしいと思うぜ、俺は」
マスター「いらっしゃいませ。本日はまた、珍しい組み合わせでございますね」
大「ええまぁ。大先輩に呼び出されたら、若輩の俺は駆け付けるしかありませんからねぇ」
楽「また思ってもねえ事を…」
—— 2時間後 ——
大「だから、俺がエリと出会ったのはライブでたまたまだって言ってるだろ」
楽「嘘付くんじゃねえよ。たまたまライブに来てたファンと、あんなに親密になるわけねぇだろ!行ったのか?!あの後ゲーセンもスポーツッチャも行ったのか!!」
大「そんな事より お前さん蕎麦屋設定どこ行ったんだよ!やり通せよ最後まで!」
楽「今はそんな事どうでもいい!」
大「駄目だ、めちゃくちゃだこの人」
楽「で…?その…お前は、好きなんだよな。エリのこと」
大「環の携帯盗み見るぐらいにはな。あんただって、蕎麦屋のふりして馬鹿な質問しちゃうぐらいには、好きなんだろ?」
楽「………」
大「え?なんでそこで黙るわけ?怖いんですけど」
楽「俺は…ずっと、Lioを想ってきたはずなのに。いつのまにかエリの事も気になって…
俺は最低な男だ!2人も同時に好きな女を作っちまうなんて!」
マ・大「「……」」
(1人なんだよなぁ)
大「いやまぁ、長く生きてりゃそんな事もあるんじゃねえの?それより、俺はあんたが羨ましいよ。
好きな女が、いつも近くにいるんだからな」
楽「は?何言ってんだ。さては酔ったか?
Lioは失踪中。エリは連絡先すら知らない。これのどこが近くにいるってんだよ」
大「あーはいはい。そうですねー 俺が間違ったこと言いました。どうも すんませんねぇ」
マ(なるほど…
全てを知ってはいるが、彼女との距離は遠い男。
彼女との距離は近いが、全てを知らない男。
果たしてどちらの方が、恵まれているのでしょうね)