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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第34章 いや、はい。もう何でもいいです




オカモチには “ そば処 山村 ” の文字が。その文字を見て思い出す。
たしか、楽の社内プロフィールには 母方の実家は飲食店経営。とあった。そうか。彼の家は蕎麦屋だったのか。


『はは…あはは。えと、山村 さん?は、本当にTRIGGERの八乙女楽にそっくりですねぇ』すごぉい

「そ、そうでしょう?俺の特技は、八乙女に似てるなって、よく言われる事です」

「変な特技ー」

「いや特技じゃないでしょ、それ」


私は、敬語の楽が物珍しくて 笑いをこらえていた。そんな中、楽…もとい蕎麦屋は、そんな事より。と 強引に話題を変える。


「皆さん、こんな住宅街で何してるんです?」

「へへー。デート!」

「えっ…」


楽はまず、私の顔を見て固まった。私が曖昧な笑顔を返すと、今度は環の顔に視線を移す。
環は何故か誇らしげで、幸せそうな笑顔を見せた。

その後に大和の顔を勢い良く確認する楽。
大和は、楽しそうに にへらと笑った。


「デ、デート…。えっ、もしかして、どっちかと付き合って」

『ません。付き合って、ません』

「う…く、食い気味にフラれた…」

「だ、大丈夫だタマ。俺も、痛恨の一撃食らってっから、仲間だ…」

「あ、あははっ!そうですよね!」


ふらつく環と大和の隣では、蕎麦屋が100万点のアイドルスマイルを見せていた。


「蕎麦屋殴りてぇ…」

「お兄さん、今は止められる自信ないなあ」


「そうだ!飯、もう食いました?」

『え、あぁ、まだです。ちょうど、どこか店を探してたところで』

「それなら、うちに食いに来て下さいよ!俺、ご馳走しますから!」


ぱぁぁと表情を明るくした蕎麦屋は、素早く私の手を引いた。そして、返事も待たず 腕を引いた。


「あ!!ちょ!おい蕎麦屋ぁ!誘拐だ!誘拐はんたーーい!」

「お。ラッキー、タダ飯タダ飯♪」


私を連れて歩き出した蕎麦屋の後ろを、環が追う。そしてその後を、るんるんと大和が着いてきた。

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