第4章 …ねぇ。もしかして、泣いてる?
「Re:vale!!」
観客の黄色い歓声が響き、会場が割れんばかりの拍手の音に包まれる。
『………』
駄目、だった。
TRIGGERは…優勝を逃した。
その場に立っているのも困難になって、私はフラフラとそこから離れる。
「ちょ、ちょっとアンタどこいくのよ!」
姉鷺の、私を呼び止める声が聞こえたが。答える気力は無かった。
また、彼のカメラがバッチリとこちらに向けられている事にも気付かない。
そのままゆっくりと歩を進めて、TRIGGERの楽屋のソファにドカっと腰を下ろす。
『………っ、、!』
唇が切れるんじゃないかというくらい、キツく キツく噛み締める。
脳内で、この1ヶ月の事が高速で再生される。
声が枯れるまで歌の練習をした天。重い衣装を見に纏い、汗だくになってダンスの練習をした楽。自分の方が疲れているだろうに、私の体調まで気遣ってくれた龍之介。
彼らを、優勝させてあげる事が、出来なかった。
『〜〜〜っ!!』
握り拳を、何度もテーブルに打ち付ける。
ガン、ガン と痛々しい音が部屋に響く。
『っ悔しい…!くや…しいっ!』
悔しい。そんなたった一言で表せる感情ではない。
上を向いて、必死で涙が溢れないように 耐えた。
でも、そんな努力も虚しく。どんどん目から雫が零れ落ちる。
クソっ…。職場で泣き出す女なんて、私が一番嫌いな人種だったはずなのに。
目と、頭と、喉が熱い。目から溢れる液体を止める事が出来ない。