第30章 あなたの夜のお供に♡モモちゃんでーす
少し待つと、美しい肉がテーブルいっぱいに並んだ。会食ではこのレベルの肉が食されるのは普通だ。しかし、私がこんな高級肉達に有り付ける事はまずない。
何故なら、いつもは接待に忙しくて 自分が食べている暇などないからだ。
目の前に並んだのは肉だけではない。キムチの盛り合わせや白ご飯、サラダなんかもズラリだ。
加藤は、オイキムチを口に運んだ。
『ときに金髪君』
「加藤だ」
『肉を食べる前にキムチを食べるのは、愚策ですよ』
「愚策て」
『刺激物により、舌の感覚が鈍って、繊細な肉の味が分かりにくくなってしまうからです』
「おいモモ。こいつめんどくせぇな」
「うふふ♡そんな所もチャーミングでしょっ?」
「駄目だ、コイツもコイツでイカレてやがる」
可愛らしく舌を出した百を見て、加藤はイラついた表情でビールを煽った。
そんな私達を微笑ましい顔で見ていた佐藤は、1人トングを持った。
「まぁまぁ、とにかく お肉焼いていこうか」
『ときに眼鏡君』
「佐藤です」
『肉、私が全部焼いても?』
「全部!?でもそれじゃ、君に悪いんじゃな」
『全部、焼いても?』
「拒否権はないんだね!!」いいけど!
『ありがとうございます。私、肉焼くの好きなんですよ』
「おっ、それめっちゃ分かるー!オレもね、結構好きだよ。美味しく綺麗に焼けたら嬉しいよね!」
『百さん。私達、もしかしたら気が合うのかもしれませんね』
「もしかしたらって!!いま初めてそう思ったの!?オレはもうずっと前からそう思ってたよぉ?!」ショック!
網が十分に温まってから、牛脂を軽く滑らせる。そしてその後、牛タンを置いた。
ジュ と音を立てて、白煙が上がる。