第26章 居なくなっちまうんじゃねえの?
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やがて、ぴとりと亀頭部分が膣口を捉えた。もうすぐに襲ってくるであろう甘い痛みに身構える。
しかし、それはまだやって来ず、大和は口を開く。
「…聞いても、いいか?」
『……?』
「名前。
あんたの名前…教えてくれよ。
どうしても、いま呼びたい。ほんとの名前」
荒い息を抑えながら、大和は切ない表情で懇願した。
こんな時なのに、彼に 少し悪戯をしたいと思ってしまう私は…
やはり、大和と性格がよく似ていると思う。
『…駄目』
「…おい、俺に男の名前呼んで あんたを抱けってか。お兄さん、さすがに萎えちゃうって」
『だって、お願いをきいてもらうの 次は私の番。でしょう?』
「それ、まだ続いてたのかよ。なら早く あんたの要求を聞かせ」
『私を抱く時は、エリ って 呼んで。それが、私のお願い。
いっぱい、いっぱい呼んでくれる?ねぇ大和…』
「っ…、エリ、エリ か」
熱い息を吐きながら、大和は私の名を2度呼んだ。
本当の、私の名前を。
「じゃあエリ、入れるからな」
『ん、大和…、きて』
「……っく、」
『!?あっっ』
ぐぷっと太い部分から中へ沈んでいく。
コンドームが無い分、そしてゆっくりな分、より生々しく伝わってくる。相手の熱や、ぬるっとした感触が。
大和が腰をゆっくり押し引きするだけで、くちゃくちゃと淫靡な粘着音がした。
私の中の色々な部分を、熱くて硬い大和が擦る。入口の浅い所も、深い敏感な所も。
『ふっ、ぅ……!ンっ、』
「っ、エリ…、エリ!は、」
何度も何度も、耳元で名前を呼ばれる。私もそれに応えるように、彼の名を口にした。